ある女性「死ねないので――
――生きます。でも心配があります。お会いしてからの数年の間に先生は老いました。私から自殺を取り上げた先生が先に逝くのは理不尽です」
中日・東京新聞系の『こちら特報部』面『本音のコラム』という日替わりコラムに載っていた、斉藤学(さとる・精神科医)先生のコラムからの一文です。
コラム自体は老眼の話で、患者さんから貰った手紙を思い出すというのでこの一文が載せられていたわけですが、
いやもう、なんたる名文かと!
「極限のところで生きている人なので、言うことが手厳しい」
と斉藤先生も書いておられますが、いやもう、太宰かと思いましたよワタシは。
いや太宰というよりアレだと思い出したのが、
「死ぬなら楽に死ぬ、苦しむなら治る、どっちかにしてもらいたい。
苦しんだ上に死ぬなんて理屈に合わぬ」
と言った伊丹十三。
極限のところで生きている人は芸術の極みにも達しているのかも知れないと思った次第です。
ところでこの先生、以前にもこのコラムで「寂しさが本当の創作意欲を生む」とか、事の本質を見極めておられるようなことを度々仰っていまして、感心させられること頻り、中々ためになります。
精神科医として書いているという、立場がブレないのもいい。
このコラムの日替わりメンバーには他に派遣労働者ユニオンの人とか、日本で活動しているフランス人作家とか、「わかっている」感じのメンバーが多いんですが、中には耳が腐るような正論を吐く「わかっていない」人もいました。もう交代したようですが。
コラムや論説の人選は知名度なんかに振り回されずちゃんとやって欲しいもんですね。
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「自分のために生きていける」ということ―寂しくて、退屈な人たちへ 著者:斎藤 学 |
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「家族神話」があなたをしばる―元気になるための家族療法 (生活人新書) 著者:斎藤 学 |
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インナーマザー―あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」 著者:斎藤 学 |
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毒になる親―一生苦しむ子供 (講談社プラスアルファ文庫) 著者:スーザン フォワード |
タイトルだけで充分なぐらいの著作群ですが、このコラムもいずれ書籍化して頂きたい。
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